悪徳競馬情報会社による詐欺被害はインターネットが普及したことによってむしろかなり増えることになりました。摘発されたり、サイトが潰れたりと悪徳競馬情報会社は日に日に消えていきますが、残念なことにそれに勝るほどの勢いで新しい悪徳競馬情報会社が立ち上げられていっています。
競馬情報会社は無数にありますが、本当に有益な情報を提供している優良競馬情報会社はほんの一握りであり、そのほとんどを締めているのが悪徳競馬情報会社という状況では、被害に遭う競馬ファンが一向に減らないのも頷けます。
「楽して稼ごうと思ったバチが当たった」日本人である我々はそんな風に考えてしまいがちですが、果たして本当にそうでしょうか?楽して稼ぎたいなんて、誰もが思うことです。大切なのは「美味しい話には裏がある」ということを理解し、もう二度と騙されないことです。もちろん、一番は最初から騙されないことですか。
では、悪徳競馬情報会社に騙されて失ったお金は戻ってこないのでしょうか?実は返金させる方法があります。裁判で訴えて勝つ方法もあります。
この記事では悪徳競馬情報会社を相手に訴訟を起こして勝つための方法、返金させる方法についてご紹介していきたいと思います。
競馬情報会社は違法ではなく「売り方」が問題
まず最初に言いますと、競馬情報会社自体は違法性はありません。弁護士に聞いてみても、予想情報を販売すること自体は違法ではないという返答が返ってきました。情報も立派な商品になるということです。
では一体何が違法になるのかというと、「情報の売り方」に問題がある場合は違法になります。例えばこんな場合です。
- 誇大広告
- 二重価格
- 虚偽表示
誇大広告とは、「絶対当たる情報」「100%的中」など、嘘とも言えるような宣伝などです。これらの大袈裟な宣伝を見たら思わず利用してしまう人もいるかも知れません。そして何より、絶対的中することはあり得ません。嘘を言ってユーザーにお金を使わせようとするこのような行為は景品表示法違反となる場合や、ユーザーを騙す詐欺罪に該当することが考えられます。
二重価格は競馬情報会社に限らずよくある景品表示法違反です。例えば、初めて売る商品なのに「今だけ限定で半額!」のように宣伝することです。そもそも定価で売った実績がないのに、さもお得のように思わせることは景品表示法違反の可能性があります。
虚偽表示は的中実績の捏造などが該当します。
悪徳競馬情報会社の摘発事例
悪徳競馬情報会社の過去の摘発事例を見てみましょう。被害総額の大きさに驚くのではないでしょうか。
千葉県警は3日、競馬の勝ち馬を高い確率で的中させるなどと偽り情報料名目で金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、競馬情報提供会社、元社長、大多和孝良容疑者(41)=同県市川市=ら7人を再逮捕した。
県警によると、いずれも容疑を否認している。大多和容疑者らのグループによる被害は全国で総額29億円に上る可能性があり、県警は組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の適用も視野に捜査を続ける。
再逮捕容疑は平成26年8月から昨年5月にかけ、競馬情報を提供する意思も能力もないのに、虚偽の的中実績を記したチラシを送るなどして、横浜市鶴見区の無職女性(78)ら4人から情報料などの名目で計約68万円をだまし取ったとしている。
県警は1月14日、同様の手口で4人から計約190万円をだまし取ったとして大多和容疑者ら13人を逮捕した。県警は再逮捕しなかった6人の捜査を任意で続ける。
「競馬で絶対儲かります」と偽り客から金をだまし取る競馬勝ち馬詐欺事件で大阪地裁は26日、組織犯罪処罰法違反の罪に問われた情報提供会社「ライセンス」元社員、夏田政希被告(23)に懲役4年、東健太被告(32)に懲役3年の実刑判決を言い渡した。
判決によると東被告らは「競馬の着順の決まったレースがある。100%当たる」などと持ちかけ、複数の会社名を使うなどして勝ち馬詐欺で22人から約6800万円を騙し取った。きょうの判決で大阪地裁は『犯行は巧妙で極めて悪質、振り込め詐欺の一種と言える』とした。
また、競馬情報会社によるものではありませんが2019年には天才騎手・武豊の親戚の名を騙るこんな詐欺事件もありました。
騎手の武豊さんの親戚をかたって「勝つ馬がわかる」とうそをつき、訪れた京都市内のすし店の板前から2万円をだまし取ったとして、京都府警は12日、住所不定で無職の菊本輝昭容疑者(72)を詐欺の疑いで逮捕し、発表した。府警には1月以降、同様の誘いを受けたという相談がほかに計7件あり、菊本容疑者は「ほかにもやった」と供述しているという。
東山署によると、逮捕容疑は1月8日昼過ぎ、日本中央競馬会(JRA)の調教師になりすまし、板前の男性に「間違いなく勝つから代行して馬券を買ったる。いくら持ってる?」と尋ね、現金を詐取したというもの。日本中央競馬会の実在する元調教師の名前が書かれた偽の名刺を渡し、「武豊の親戚だ」と伝えたという。代行して買うとしたレースは架空のものだった。
板前の男性は取材に「親戚だから『今度、豊をつれてくるわ』と言い、名刺も出してきたので信じてしまった」と話した。開店前の仕込み中に「予約がしたい」と来店し、雑談で競馬の話になったという。「競馬に詳しいので信じてしまった。絶対当たるなんて話はあるはずないのに」と悔やんだ。
この武豊騎手の親戚を騙る詐欺事件では、板前の男性は競馬に詳しい人だったようです。にも関わらず、あまりに大胆な詐欺に引っかかってしまったのです。
逮捕されたからと言って返金されるとは限らない
気をつけておきたいのは、逮捕されたからと言って返金されるとは限らないことです。返金命令は下されますが、それで確実にお金が返ってくるかというとそうではありません。だからこそ、返金させたいのならば早めに手を打つ必要があります。
詐欺に引っかかることは恥ずかしいことではありません。恥ずかしいのは詐欺を行っている方です。早めに手を打つようにしましょう。
裁判で勝つ方法
悪徳競馬情報会社を相手に裁判を起こして勝つためには、詐欺罪を立証するための「証拠」があれば勝つことが出来ます。
被告欠席のまま裁判を進めることも出来ますが、資産や銀行口座がわからないと賠償金額を請求するのは難しく、裁判に勝ったとしてもお金は1円も返ってこないばかりか、弁護士費用がかかるだけだったという結果になる可能性もありますのでくれぐれも注意するようにしてください。
また、裁判では原告の過失についても言及されます。悪徳競馬情報会社の詐欺の場合、ただ一方的に騙されたのではなく「儲けることが出来る美味しい話に乗った結果、騙された」ということですよね。そのため、返金されるとしても全額ではなく、原告の過失分だと考えられる金額が差し引かれた金額が賠償金となります。被害総額の半分ほどというのが過去の判例からみた時の賠償金額の平均のようでした。
返金させる3つの方法
裁判で勝っても被害総額の半額しか戻ってこない。もしくは1円も戻ってこない可能性がある。このようなことから、競馬情報会社を訴える人はそこまで多くありません。
しかしだからといって泣き寝入りなんて悔しすぎますよね。では一体どうするかというと、返金させる方法があります。これから悪徳競馬情報会社に返金させる方法についてご紹介していきます。
返金させる方法その1「しつこく交渉を行う」
競馬情報会社によっては、しつこく交渉を行うことで返金に応じる場合もあります。もちろん、何も証拠がない状態では交渉の効果も半減してしまいますから、競馬情報会社の宣伝内容や説明と実際の有料情報の内容が異なっているという証拠や、情報の売り方の違法性などの情報を予め集めておく必要があります。
これらの証拠をしっかりと揃えて交渉を行うと、競馬情報会社が応じる可能性があります。ただし1回や2回では応じない可能性もありますから、しつこく交渉する必要があります。
ですが、悪徳競馬情報会社の中にはそもそもサイトを潰すことを前提にしているところもあり、そのような悪徳競馬情報会社の場合は交渉する間もなくサイトがこつ然と消えてしまう可能性もあります。
返金させる方法その2「消費者生活センターに相談」
消費者生活センターに相談し、どのようにして騙されたのか伝えると、代理になって悪徳競馬情報会社に交渉してもらうことが出来ます。
ユーザーが自分で交渉するだけでなく、このようにして消費者生活センターという第三者が介入することで、悪徳競馬情報会社に「返金に応じた方がいいかもしれない」と思わせることが出来ます。ただし、消費者生活センターには法的拘束力はありません。
返金させる方法その3「弁護士や法テラスに相談する」
弁護士には法的拘束力があり、強制的に悪徳競馬情報会社に返金させることも可能です。ただし、弁護士の場合弁護士費用が高くなるため、費用を少しでも軽減したいという場合には法テラス(日本司法支援センター)に相談するのもいいでしょう。
国営なので安心して悪徳競馬情報会社でのトラブルを相談することが出来ます。相談は無料な上、必要なケースと判断されたら弁護士や司法書士費用の肩代わりをしてくれたりと、頼もしい味方となってくれるはずです。
まとめ
悪徳競馬情報会社との裁判に勝つ方法、そして返金させる方法についてご紹介させていただきました。覚えておいてほしいのは、これらの方法は100%勝てるわけでもなければ、返金してもらう事ができるというわけではないということです。
そもそも騙されないようにするということが何よりも大切ですので、くれぐれも忘れないようにしてください。
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